研究課題
基盤研究(C)
土壌還元消毒過程に関わる土壌微生物種やその役割を明らかにするため、土壌病原菌接種土壌に1%エタノール溶液を加えて密封することで土壌還元消毒試験を行った。処理中の土壌では酸化還元電位が急速に低下し、病原菌が死滅するとともに、二価鉄が土壌に蓄積した。土壌微生物相の変化を経時的に調査した結果、嫌気性細菌(Clostridium属菌、Desulfosporosinus属菌等)の存在比が高くなり、これら細菌種の増殖が、殺菌物質の生成・蓄積および還元消毒効果と密接に関連していることが推測された。
植物病理学
近年、人体や環境に対する影響への懸念から、化学合成農薬(土壌くん蒸剤)を代替する技術の開発が要望されている。土壌還元消毒法は環境や人体に負荷をかけない代替技術の一つとして有望視されているが、その土壌消毒メカニズムについては不明な点が多い。その消毒効果に関連する土壌微生物の種類やそれらの役割を明らかにすることで、常に安定した効果を得るための条件や処理方法を確立することができ、同技術の一層の普及・利用につなげられる。