研究課題
基盤研究(C)
半乾燥地帯に生息するサバクトビバッタが混み合いに反応し群生相化するのは何らかの適応的意義があるかという生態学的疑問に答えるために研究に取り組んだ。とくに、卵、幼虫、成虫のそれぞれに発育ステージにおける環境ストレス(エサ、水、熱)への適応に着目した。野外調査と室内実験とを組み合わせて調査したところ、相変異が関与した生理学的および行動学的変化は砂漠ならではの環境への適応であることが示唆された。
応用昆虫学
本研究は、バッタ類の群生相化の適応的意義を環境ストレス耐性という観点から解き明かすため、長年にわたって謎だった大発生プロセスの一端を説明できることが期待される。また、全ての生物が普遍的に共有する「熱、水、エサ」に関するストレスに対する適応戦略について、基礎的ながらも斬新な知見が得られることが期待され、新たな課題を創出するなど将来の発展性も高く見込まれることから、本研究は、生物の適応能力を開拓するモデル研究として位置づけられる。