本研究では次世代シークエンサー(NGS)を用いて遺跡出土したジュゴン骨を対象とし、古代DNAの分析から当時の遺伝的多様性の推定を目的とした。遺跡出土ジュゴン骨の古代DNA残存量は僅かであることが判明しているため、各試料のDNAを濃縮・増幅することで分析の進行をはかったが、入手していた試料では濃縮と増幅が確認できなかった。そこで新たな遺跡資料にアクセスし、対象種DNAの濃縮と増幅実験を進めたが、さらなる詳細な分析を進めることができなかった。この原因として出土ジュゴン骨における古代DNA残存率は予想よりも遥かに少なく、古代人をはじめとする遺跡骨以上に対象資料の精査が非常に重要であることが判明した。
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