• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

二酸化ケイ素粉末を用いた無機複合木質成形体の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K05707
研究機関京都大学

研究代表者

梅村 研二  京都大学, 生存圏研究所, 教授 (70378909)

研究分担者 松尾 美幸  京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (70631597)
安藤 大将  秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 助教 (10751034)
足立 幸司  秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 准教授 (70451838)
山内 秀文  秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (90279513)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードシリカ / クエン酸 / スクロース / 成形体 / 天然系接着剤
研究実績の概要

本年度は、二酸化ケイ素粉末に対するスクロース・クエン酸接着剤の接着性について検討した。具体的には、二酸化ケイ素粉末の重量比を80wt%、スクロース粉末とクエン酸粉末の合計重量比を20wt%一定とし、スクロース粉末とクエン酸粉末の重量比を7条件変化させて二酸化ケイ素粉末成形体を作製した。製造方法は、各粉末を混合後、ろ紙を配した金型に投入し、ホットプレスにて200℃、4MPa、10 分で熱圧した。得られた成形体は、表面のろ紙を除去後、曲げ試験や耐水性試験、耐燃性試験を行い、スクロースとクエン酸の最適混合比を検討した。次に、スクロースとクエン酸の最適混合比のもと、二酸化ケイ素粉末に対する接着剤添加率を0から30wt%として成形体を作製し、最適接着剤添加率を検討した。
得られた成形体の密度は1.64から1.83 g/cm3の範囲であった。曲げ強度はスクロースとクエン酸の混合比率が75:25の場合に最も高い値を示すことが見出された。耐水性試験の結果、同混合比率の場合に煮沸処理でも形状が維持され、高い耐水性を示すことが分かった。耐燃性試験の結果、成形体は炎に接触した部分のみが白色になり、著しい燃焼は認められず高い耐燃性を示した。これらの結果、本研究でのスクロースとクエン酸の最適混合比率は75:25であった。次に、接着剤添加率の影響を同様の評価方法で検討したところ、20wt%が最適であることが見出された。以上の結果、スクロース・クエン酸接着剤は無機物の二酸化ケイ素粉末に対して良好な接着性を示すことが明らかとなった。これらの結果の一部については、日本接着学会第59回年次大会にて公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、スクロース・クエン酸接着剤の二酸化ケイ素粉末に対する接着性を検討するために、スクロースとクエン酸の混合比の影響や接着剤としての添加率の影響を調べた。当初、成形体の作製に当たっては熱圧後の成形体と金型との付着により、成形体を金型から取り出すことが困難であった。しかし、事前に金型の上下にろ紙を置くことで離型を容易にする手法を見出した。すなわち、ろ紙を上下に配した成形体を作成し、離型後にろ紙をグラインダーで除去することで成形体を得ることができた。熱圧条件は、200℃、4MPa、10 分としたが、これは既往の研究結果に基づいて一定とした。耐燃性試験は、数多くの製造条件に対して行う必要があるため、比較的簡便かつ容易なJISK6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)によって評価した。得られた成形体は曲げ強度、耐水性、耐燃性に優れていたことから、スクロース・クエン酸接着剤が二酸化ケイ素粉末に対して良好な接着性を示すことを見出すことができた。申請時の計画調書では、今年度はスクロース系接着剤を用いて二酸化ケイ素粉末成形体を作成し、物性評価と最適製造条件を明らかにすることを目的としていることから、概ね計画通り進捗したと考える。

今後の研究の推進方策

今年度は、スクロース・クエン酸接着剤による二酸化ケイ素粉末成形体について検討し、接着性を明らかにすることができた。一方、スクロース・クエン酸接着剤は、これまでパーティクルボードや合板用の接着剤として検討されてきたが、木粉成形体の接着剤としては検討されていない。そこで、次年度はスクロース・クエン酸接着剤による木粉成形体を作製し、その物性や接着性を明らかにする必要があると考える。その上で、二酸化ケイ素粉末と木粉との複合化を試み、無機質複合木質成形体としての性能を明らかにする。物性評価は基本的には今年度と同様の手法を用いるが、複合化で得られた最適条件の成形体に対してはコーンカロリーメーターによる燃焼性試験を考えている。これによって、他の木質材料と比較が可能となり、成形体の燃焼性の位置づけを明確にしたい。

次年度使用額が生じた理由

本来であれば研究分担者の所属先を訪問し、燃焼性試験の打ち合わせ等を行う予定であった。しかし、新型コロナの影響で予定がすべて中止となり、結果として旅費の出費が著しく制限されたことが大きな要因である。また、消耗品に関して研究室のストックを使用できたことも要因の一つとして上げられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] スクロース・クエン酸接着によるシリカ粉末成形体の物性評価2021

    • 著者名/発表者名
      梅下智史、安藤大将、梅村研二
    • 学会等名
      一般社団法人日本接着学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi