陸域起源溶存態有機炭素の分解性を評価する目的で有明海の海水を用いた培養実験を行い、培養前後における溶存態有機炭素の炭素安定同位体比を測定した。その結果、培養期間中において細菌に分解された溶存態有機炭素は主に陸域起源溶存態有機炭素であることが示唆された。さらに、陸域起源溶存態有機物を海水に添加し、植物プランクトンの増殖速度を評価する実験を行った。その結果、細菌の有機物分解を阻害した場合としなかった場合の両方において、大型の植物プランクトンの増殖が促進されることが示唆された。これらの結果は、陸域起源溶存態有機物の一部が、細菌や植物プランクトンによって速やかに除去されることを示すものである。
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