本研究は糖結合性タンパク質「レクチン」を多量に含有する食用紅藻および同レクチンを対象に、摂食後の機能特性とその分子メカニズムの解明を目的とした。実際の食事モデルを模した試験により、これらレクチンは消化酵素による分解を免れ、機能性を保ったまま腸まで届くことが示唆され、さらにこれらレクチンががん細胞表面の膜タンパク質と相互作用し、抗腫瘍作用を示す可能性が示された。一方、紅藻類からの機能性成分の抽出・精製法を検討するため、海洋性細菌由来紅藻多糖分解酵素の大腸菌組換え体を調製し、これらにより試料の粘性を減少させることで、レクチンをはじめとする機能性水溶性成分を効率的に抽出可能となることを見出した。
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