研究課題/領域番号 |
21K05917
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
原田 和記 鳥取大学, 農学部, 准教授 (80549543)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ESBL産生菌 / 犬 / 薬力学/薬物動態学解析 |
研究実績の概要 |
基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌は伴侶動物で流行する多剤耐性菌であり、治療候補薬の選定及びその有効性評価が必要とされている。今回、ヒト医療分野でのESBL感染症に対する治療候補薬剤の一つであるピペラシリン/タゾバクタム(TZP)について、伴侶動物由来ESBL産生菌に対する薬力学パラメータを評価するため、伴侶動物由来ESBL産生菌のTZPに対する最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。 犬猫から分離されたESBL産生K. pneumoniae(Kp)136株(うちAmpC β-ラクタマーゼ(ABL)産生 9株)、P. mirabilis(Pm) 30株、E. cloacae(Ec) 70株(うちABL産生 15株)を供試した。供試株のTZPに対する最小発育阻止濃度(MIC)をClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)に準拠した寒天平板希釈法により測定し、CLSIのMICブレイクポイント(8 ug/mL)以下を感受性と判定した。 Pmが最も高い感受性率(96.7%)を示し、MIC90(90%の株の発育が阻止される濃度)も4 ug/mLと低値であった。一方で、Kp(73.5%)及びEc(70.0%)は同程度にやや低い感受性率であり、MIC90はそれぞれ16及び32 ug/mLと高値であった。さらに、ABL保有株と非保有株での感受性率比較では、Kpでは同程度(77.8% vs 73.2%)に対し、Ecでは(40.0% vs. 78.2%)と差が認められた。以上から、菌種によりTZPの感受性率が異なること、ABL産生の有無はTZP感受性に影響するが、その度合いは菌種により異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
犬猫のESBL産生菌感染症の候補薬の基礎的検討については順調に進んでいるが、その有効性を臨床現場で検証する上での臨床試験については十分に進められていないため。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究における協力病院を積極的に募り、できる限り多くの症例を確保するように努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本次年度使用額は極めてわずかであり、それのみでは適切な用途がなかった。 翌年度においては消耗品に充てる予定である。
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