これまでの研究で3価クロムは、PPARγを介してエリスロポエチン産生を促進すると共に、Aktのリン酸化を増加させることで、イン シュリン抵抗性誘導の阻止効果を発揮するだけでなく、Aktのリン酸化がHIF-1,2の増加をもたらし、エリスロポエチン産生を促進することが明らかとなった。この結果はクロムの24時間処置による結果なので、実際の人への曝露を考慮し、長期間クロム処置をした場合のエリスロポエチン産生細胞であるHepG2細胞への影響を調べた。クロムの長期間処置においてPPARγ産生の増加は持続し、それによるEPO産生の増加も維持することが示唆された。PPARγの作用の増強により、EPO産生も増強されたままであるが、LPSや酸化ストレスによるEPO産生増加の応答性は低下していることことが示唆された。得られた結果は 第50回日本毒性学会学術年会において「Effect of long-term treatment of trivalent chromium on PPARγ and erythropoietin production in HepG2 cells」の タイトルでポスター発表した。また、「Effect of long-term treatment with trivalent chromium on erythropoietin production in HepG2 cells」のタイトルで論文を投稿、受理された。(Arch Biochem Biophys. 2024 Feb;752:109872. doi: 10.1016/j.abb.2023.109872. )
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