研究実績の概要 |
本研究は、①鹿児島大学総合研究博物館植物標本室(KAG)の植物標本のデータベース化と公開を推進し、②未記載の分類群に関する情報の収集・整備、および分類学的検討、③収蔵するタイプ標本の整理・公開、④鹿児島県絶滅危惧種・外来種の客観的指標の整備を行うことを目的としている。 2021年度は、①について17,275点の植物標本をデータベースに登録し、処理を終えた5,278点の標本のデジタル画像をインターネット上で公開した。年間を通して1,875件の閲覧利用があった。また、全国の自然史系博物館の標本情報を集約するサイエンスミュージアムネット(S-Net)へ12,000件の標本情報の提供を行った。②については、対象となる未記載分類群の情報や標本の整理を進めるとともに、国内では新種ブンゴギボウシと新亜種ヤクシマルリアジサイやノミノキンチャクの1種2亜種、国外ではキツネノマゴ科1種1変種、クスノキ科3種、キク科1種、マメ科1種、ノボタン科1種の新分類群の記載を進め、論文発表した。③については、KAG標本を基に自身が記載した分類群も含め、新たに18点のタイプ標本を確認した。④については、KAGおよび全国42館が収蔵する鹿児島県産の植物に関する情報を収集し、231科1,139属3,450種3,914分類群について、それぞれ採集年や絶滅危惧のランクや在来種/外来種情報を整理して県内における分布図を作成し、「鹿児島県の維管束植物分布図集」として全県版、奄美群島版の2冊の出版を行った。
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