研究実績の概要 |
昨年度に続き、2023年度は、①鹿児島大学総合研究博物館(KAG)に収蔵されている7,625点の植物標本をデータベースに登録し、デジタル画像をインターネット上で公開した。年間を通して2,026件の閲覧利用があった。また、全国の自然史系博物館の標本情報を集約するサイエンスミュージアムネット(S-Net)へ7,000件の標本情報の提供を行った。②県内各地で野外調査を実施し、182点の植物標本および生態写真、遺伝子解析用試料を収集した。得られた標本から大隅半島肝属山地からムジナノショクダイを新属新種として記載し、県内の新産地としてアマクサツチトリモチやツシマスゲを報告した。KAGに収蔵されている標本に基づき、西表島に分布する17種の植物について新知見を報告し、ラオスのマメ科1種、ベトナムのアカネ科1種の新種記載を行った。さらに、ラオスからは12種の植物を同国初記録として報告し、国内外の植物相の解明に貢献した。③JSTOR Global Plantsとのパートナー契約の締結を完了し、当館が収蔵するタイプ標本40点の標本画像とラベル情報を提供し、公開を行った。④野外調査、文献調査、標本調査に基づく鹿児島県産維管束植物の情報基盤整備を進めた結果、昨年度から新たに29分類群の植物を確認し、鹿児島の植物相に追加した(うち12分類群は外来植物)。これにより、現時点で鹿児島に生育する維管束植物は4019 分類群(3525種、28亜種、330変種、136品種)となった。
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