本研究では、陸上高温環境に広く分布する始原的系統の滑走運動細菌Chloroflexus aggregansの細胞間コミュニケーションシグナル物質を同定し、その作用機構を明らかにすることを目的とした。C. aggregansの培養液から各種クロマトグラフィーを用いて、滑走運動を促進する細胞外シグナル分子を分取した。分光分析等から、シグナル分子はリン酸基を含む低分子量炭化水素と推定でき、これまでに知られている細菌細胞間シグナル分子とは異なることが分かった。シグナル分子添加後の転写変化を調べたところ、既知の化学走性関連遺伝子の転写量に顕著な変化は検出されず、新規のシグナル応答機構があると考えられた。
|