研究課題
基盤研究(C)
脊椎動物の鼻に位置する終神経は、神経ペプチドGnRHを発現するが、その機能は長らく不明であった。応募者らは、ゼブラフィッシュをモデルにして、第0脳神経・終神経が「二酸化炭素からの忌避行動に必須な感覚ニューロンである」ことを見出した。本研究は、侵害受容ニューロンとしての終神経GnRHニューロンの機能の解明を目的とし、神経ペプチドとその受容体のmRNA発現解析、神経ペプチド摂動(機能亢進/機能阻害)のためのトランスジェニック系統を作成、侵害性防御行動と神経活動変化の観察を行った。その結果、終神経GnRHニューロンが、他の神経ペプチドと協調して働き、侵害受容ニューロンとして機能することが示唆された。
神経科学
侵害受容システムは、動物の生体警告系として働き、個体の生存に重要である。外環境に接した鼻に位置する侵害受容ニューロンとしての終神経は、脊髄神経、三叉神経ともに、重要な生体警告系を構成する要素と考えられる。したがって、本研究の成果は、感覚ニューロンかつ内分泌ニューロンという二重の機能を持つ侵害受容ニューロンの生理的意義とその分子基盤に迫るだけでなく, 生体の恒常性や病態メカニズムの解明へつながることも期待される。