研究課題
前年度に得られた各種誘導体化試薬の構造の知見をさらに発展させて,既存の試薬よりも検出感度に優れ,生体内夾雑ビタミン代謝物分離に優れた新しいCookson型試薬の合成と,LC/SEI-MS/MSを分析の手法とした尿中ビタミンD3代謝物分析法の開発にこの誘導体化試薬を適用することで,実際に実用性まで評価した.本試薬はこれまでに鎖状の3級アミンをESIの感度向上部位として使用しているものを,環状のアミンとすることで分離向上と感度向上に繋がった.更にこの知見を活用し,新規の荷電型Cookson型試薬合成のデザインにも流用した.即ち,ピペラジンをCookson型試薬に導入することで,ピペラジン4位のアミン部位にアルキル基を作用させることで容易に正荷電部分の構築ができることが判明した.昨年までの超高感度型試薬合成ではこの荷電型部分の構築にはピリジンをベースにしていた.この時にはピリジンのN部分へのアルキル基の導入は72時間以上を要し,その収率も10%程度であったため,試薬精製にも難があったが,本構造に切り替えることで,48時間で収率も40%と良好に得られ,ODSの逆相クロマトグラフィーで簡単に精製もできるために,本知見を利用することで,今後はLC/ESI-MS/MS用の荷電型試薬のデザイン・合成を行う上で役に立つ知見の一つとなる成果も得られた.さらに,ステロイド代謝物の種々の抱合体をジアゾ型の誘導体化試薬で一括で分析することを企て,胆汁酸の脂肪酸エステル抱合体などの合成を行い,腸内環境とこれらの存否の解析へと応用に繋げていく.
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薬局薬学
巻: 16 ページ: 21-28
10.32160/yakkyoku.nt.2023-0016
Analytical Sciences
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