セロトニンは、脊椎動物と無脊椎動物の種を超えて保存された神経伝達物質である。哺乳類では、セロトニンは本能、情動、認知機能など様々な機能に関与し、特に、社会環境からの刺激による社会行動を調節する。しかし、哺乳類の社会行動の基盤を成す神経機構はよく分かっておらず、自閉症スペクトラム障害などの疾患で、社会性欠如に対する治療法の合理的開発が制限されているのが現状である。鳥類ではセロトニン受容体の複数のサブタイプが存在するが、社会行動に関与するサブタイプは分かっていなかった。本研究により、セロトニン受容体のサブタイプに注目し、鳥類の社会行動の基盤となる神経回路を知る手がかりが得られる可能性がある。
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