我が国はメチル水銀 (MeHg) による公害として水俣病を経験し、多大な爪痕を残した。現代も環境中で微生物の活動により産生されるMeHgが生物濃縮を介し魚介類へ蓄積される。人々は日常的にこれを摂取するため、MeHgによる健康影響は世界的な懸念事項であり、その毒性機序の解明は重要な研究課題である。MeHgによる生体影響の引き金となる機序の解明を目指して、MeHg曝露神経細胞中のタンパク質における超硫黄化の変動を解析した。その結果、本実験条件下において特異的なタンパク質の超硫黄化が減少した。この変動がもたらす細胞機能変化を探求することはMeHg毒性機序の理解につながると期待される。
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