研究課題/領域番号 |
21K06581
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
林 啓太朗 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (10323106)
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研究分担者 |
倉沢 和宏 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30282479)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アミノ酸トランスポーター / アルギニンメチル化 / T 細胞 / LAT1 / JPH203 |
研究実績の概要 |
アミノ酸は、タンパク質の基質となるほか、栄養環境に応じて細胞機能を調節するアミノ酸センサーの制御因子としても機能する。LAT1は、大型中性アミノ酸を細胞内に取り込むアミノ酸トランスポーターで、細胞のがん化に伴い発現が著しく亢進するほか、活性化T細胞における機能的重要性が近年明らかとなっている。メチオニンはLAT1によって細胞内に取り込まれ、タンパク質の機能を制御するアルギニンメチル化に必須の基質となる。研究代表者は、活性化T細胞においてLAT1特異的阻害薬JPH203によりメチル化が変動するRNA結合タンパク質Aをこれまでに発見した。本研究は、LAT1を介したメチオニン取り込みとそれに伴うタンパク質Aのメチル化変動によるT細胞機能調節のメカニズムを明らかにすることを目的とする。本年度は、タンパク質AのT細胞活性化における役割について検討を行った。これまでの結果は、すべてヒトT細胞を用いた実験で得られていたものであったが、本年度はコロナウイルスの影響で健常者より採血を行うことが不可能であったため、マウスT細胞を用いて実験を実施した。ヒト細胞を用いた実験では、siRNAによるタンパク質Aの発現低下によりT細胞の活性化が抑制されることがこれまで明らかとなっていたことから、同様の実験をマウスのT細胞を用いて行った。タンパク質AのsiRNAによりタンパク発現量が十分に減少した実験においては、T細胞活性化の抑制が見られた。従って、マウスにおいてもタンパク質AはT細胞活性化における必須因子として機能していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、ヒト細胞を使った実験が基本であるが、本年度はコロナウイルスの影響で健常者からの採血を行うことが不可能であった。そこで、マウスT細胞を用いて実験を実施したが、siRNAによるタンパク質発現低下効率が実験毎に大きく異なることから、実験条件の検討に時間がかかっている。そのため、当初の予定よりやや遅れた状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度も引き続きヒト細胞を使うことが難しいと予想されるため、マウスT細胞を用いて実験を継続する。標的タンパク質の発現減少の効率を改善するために、これまでに用いたsiRNAに加え、ゲノム編集なども取り入れる予定である。さらに、タンパク質Aの標的RNAの探索も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はコロナウイルスの影響で当初予定していた実験が十分に実施できず、また、物品購入時には価格を精査して極力、低価格品を選択したため、次年度使用額が生じた。次年度は、遅れている実験を推進するため、実験効率を高めるキットの購入などに使用する予定である。
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