2023年度は生後4週齢と7週齢のオスのKK-AyマウスとC57BL6/Jマウスから精子と精巣を採取し、解析を行った。また、精子に対する炎症性サイトカインの直接的作用を調べるため、C57BL6/Jマウスから採取した精子をTNF(100 ng/mL)で24時間インキュベートし、正常運動率と生存率に及ぼす作用を評価した。KK-AyマウスとC57BL6/Jマウスは、いずれの週齢においても精子は採取されなかった。しかしながら、生後4週齢の時点で、KK-Ayマウスの精巣では間質へのAGEs形成が生じており、マクロファージ浸潤を促進するMCP-1の遺伝子発現レベルが上昇していた。そして、生後7週齢の時点で、KK-Ayマウスの精巣では精細管の拡張が見られ、炎症性サイトカインであるTNFの遺伝子発現レベルが増加していた。これらの結果から、KK-Ayマウスにおいて、精子の異常に先立って精巣の炎症が生じていることが明らかになった。 精子に対する直接的作用の検討では、TNF(100 ng/mL)による正常運動率と生存率の低下が認められた。このことから、精巣における炎症が精子の異常に関わる可能性が示唆された。
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