本研究では、海馬ミクログリアの異常がシナプスの形態・機能の変化を介して腫瘍切除後に持続するうつ様行動に寄与する可能性を明らかにすることを目的とし、分子生物学的、薬理学的検討を行い、以下の成果を得た。ミクログリアの機能調節薬であるミノサイクリンは、腫瘍切除マウスの社会性の低下とともに、海馬におけるミクログリアの形態、神経細胞のポストシナプス数、およびミクログリアとポストシナプスとの相互作用の変化を改善することを明らかにした。以上の結果は、がん病態時およびその治療後において、海馬ミクログリアの機能異常が神経機能の変化を介して、長期的に持続するうつ様行動の発現につながる可能性を示唆するものである。
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