本研究は、鼻腔と脳との間の直接的な薬物移行経路を活用して、オキシトシン(OXT)の効率的な脳内送達を実現し、自閉症スペクトラム障害に対するより有効な治療法を開発することを目的とする。鼻腔内投与後のOXTの吸収、脳移行、脳内動態およびそれらに影響を与える因子について、動物実験を中心に検討を行った。OXTの脳移行に対して、鼻腔から脳への直接移行の寄与が高く、OXTは効率よく鼻腔から脳に移行していること、さらに、脳細胞外液の循環システムであるGlymphatic systemを制御することにより、OXTの脳内からの消失の遅延を介して、OXTの脳内濃度の増大と持続を実現できる可能性を明らかにした。
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