本研究では、医療機関の電子カルテ情報を用いて、プロトンポンプ阻害薬の種類や併用される薬剤が急性腎障害の発症リスクに及ぼす影響を検討した。その結果、プロトンポンプ(H+, K+-ATPase)を阻害する薬物(オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、ランソプラゾール及びボノプラザン)はいずれも急性腎障害の原因となることが示唆された。従って、胃上皮細胞におけるプロトンポンプ阻害、又は、その結果起こる胃酸抑制が急性腎障害の原因となり得ることが示唆された。続く検討から、マクロライド系抗菌薬や免疫チェックポイント阻害薬の併用は急性腎障害のリスクに影響を及ぼさないことが示唆された。
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