研究課題
糖尿病神経障害の成因は多岐に亘るが、その中でも酸化ストレス亢進は中心的な役割を担っている。高血糖状態での酸化ストレス亢進の機序のひとつにミトコンドリア由来の酸化ストレスが考えられている。本研究では、持続高血糖だけでなく低血糖、食後血糖スパイク、血糖変動が神経のミトコンドリア機能異常に関与し、糖尿病性神経障害の発症・進展に関与する可能性について検討した。さらにイメグリミンを含むミトコンドリア機能改善薬の糖尿病性神経障害への効果を検討し、新規治療の可能性を深策した。IMS32細胞において、高および低グルコースによる細胞生存率の低下、ミトコンドリア酸化ストレスの増加、ミトコンドリア膜電位の低下、ミトコンドリア酸素消費率の上昇、ミトコンドリア電子伝達系複合体I活性の増加が認められた。これらのミトコンドリア機能異常は、イメグリミンにより改善することが明らかとなった。さらにイメグリミンは、NAMPT活性を亢進しNAD+量を増加するとともにATP量を増加することが明らかとなった。最終年度は、STZ糖尿病ラットにてイメグリミンの糖尿病性神経障害に対する効果を検討した。STZ投与4週後から、イメグリミンを200mg/kg/日、1日2回に分けて4週間経口投与した。コントロール群に比して糖尿病群で腓骨神経伝導速度(SNCV)および坐骨神経内血流量(SNBF)の有意な低下を認めたが、これらの低下はイメグリミン投与により有意に改善した。この様にシュワン細胞における検討および1型糖尿病モデル動物である糖尿病ラットにおける検討の結果から、イメグリミンは糖尿病性神経障害に対して有効である可能性が考えられる。
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Neurol Int
巻: 16 ページ: 370-379
10.3390/neurolint16020027
http://www.phar.agu.ac.jp/lab/medicine/index.html