近年乳酸は、エネルギー源だけではなく、細胞間シグナル分子として機能することが明らかになっている。このことは、心室筋細胞から分泌された乳酸が、自身や周辺細胞の表現型を調節している可能性がある。本研究で得られた知見は、発生・発達段階における乳酸を介した細胞間機能調節メカニズムに関する重要なものであり、発達期の環境が将来の健康状態に及ぼす影響(DOHaD)のメカニズムの理解に貢献できる。また、アドレナリンの糖代謝亢進作用は、従来のcAMP-PKA経路とは別の経路を介していることが示唆されることから、新生児低血糖などの小児代謝系疾患に対する新たな治療標的の発見につながることが期待される。
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