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2021 年度 実施状況報告書

動脈硬化抑制に関わる核内受容体の制御ネットワークの解明と創薬応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K06791
研究機関福山大学

研究代表者

松岡 浩史  福山大学, 薬学部, 准教授 (00527533)

研究分担者 道原 明宏  福山大学, 薬学部, 教授 (10309635)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード動脈硬化 / 脂質代謝 / 核内受容体 / レチノイン酸受容体関連オーファン受容体 / RORα / トランスクリプトーム / アゴニスト / コレステロール
研究実績の概要

動脈硬化の薬物治療において、脂質降下薬が臨床現場で応用されている。しかし、これら薬剤は脂質降下作用により予防には効果的であるが、すでに蓄積された脂質を除去する効果は十分でなく、新たな治療薬の開発が必要である。以前、我々は動脈硬化抑制に関わるRORα核内受容体の応答配列(RORE)のゲノムワイド検索を足掛かりとして、RORαの結合性と応答性を合わせ持つROREを有する標的遺伝子の同定に成功した。その標的遺伝子として、血中糖濃度の調節酵素PCK1、細胞接着分子CLDND1、蓄積コレステロールの除去酵素NCEH1、酸化ステロールの代謝酵素CYP39A1を得てきた。しかし、RORαを通じた制御ネットワークの全容は不明である。
本研究では、RORαの制御ネットワークの全容を明らかにするとともに、その制御系の活性化に対するRORαアゴニストの効果についても評価することで、動脈硬化治療を目指した標的分子の同定および動脈硬化に対する効果的な治療薬の開発を目的とする。
1.RORαの標的遺伝子群を選出するために、RORα機能欠失細胞を作成し、逆遺伝学的探索を試みた。CRISPR-Cas9システムによるPITCh-KIKO法に準じて、RORα内に薬剤耐性および緑色蛍光遺伝子カセットが挿入されるよう設計した。現在、RORα機能欠失細胞を選択中である。
2.RORαを活性化させるアゴニストの薬理効果を評価するために、RORαアゴニストの処理細胞を用いて標的遺伝子群の発現誘導を解析した。さらに、RORαアゴニストによる活性化能について、レポーターアッセイによる評価系を確立した。
3.RORα標的遺伝子のうちCLDND1遺伝子の発現亢進メカニズムを明らかにするために、欠失レポーターアッセイによりエンハンサー領域の同定を試みた。CLDND1プロモーター近傍に位置するエンハンサーおよび、その転写因子を同定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の成果として、以下の結果を得た。
1.RORα標的遺伝子であるCLDND1について、その発現誘導に関わる転写因子を同定した。
2.CLDND1遺伝子プロモーターに作用するELK1コンセンサス配列を見出した。
3.血管内皮細胞においてELK1活性化はCLDND1発現を増加させた。
4.血管内皮細胞においてELK1リン酸化抑制はCLDND1発現を減少させた。
また、これまでの成果を総説としてまとめ報告した。さらに日本薬学会中国四国支部奨励賞を受賞した。【招待総説】Identification of the RORα transcriptional network contributes to the search for therapeutic targets in atherosclerosis. Hiroshi Matsuoka, and Akihiro Michihara. Biological and Pharmaceutical Bulletin. 44(11) 1607-1616 (2021) .【奨励賞受賞講演】動脈硬化抑制に関与するレチノイド関連オーファン受容体の標的遺伝子群の探索.松岡浩史.第60回日本薬学会中国四国支部学術大会、演題番号AL-1.

今後の研究の推進方策

本研究では、RORα核内受容体の制御ネットワークの全容を明らかにするとともに、その制御系の活性化に対するRORαアゴニストの効果についても評価することで、動脈硬化治療を目指した標的分子の同定および動脈硬化に対する効果的な治療薬の開発を目的としている。
RORαの標的遺伝子群を逆遺伝学的手法により選出するために、現在、RORα機能欠失細胞を薬剤選択中である。でき次第、mRNA-seq法によるトランスクリプトーム解析を実施する。また、RORαを活性化させるアゴニストの薬理効果を評価するために、RORαアゴニストの処理による標的遺伝子群の発現誘導能について、qRT-PCR法およびレポーターアッセイにより評価する。現在、RORαアゴニスト候補について、その効果を解析中である。さらに、RORα標的遺伝子のうちCLDND1遺伝子の発現亢進メカニズムの新知見に関しては、学術誌への投稿を検討している。

次年度使用額が生じた理由

現在、論文投稿中であり、掲載費に備えたためである。論文掲載が決定すれば使用する。その他は、おおむね計画通りに使用した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Identification of the RORα Transcriptional Network Contributes to the Search for Therapeutic Targets in Atherosclerosis2021

    • 著者名/発表者名
      Matsuoka Hiroshi、Michihara Akihiro
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 44 ページ: 1607~1616

    • DOI

      10.1248/bpb.b21-00426

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 脳卒中に関与する細胞接着分子であるCLDND1の発現調節法の開発を目指して2021

    • 著者名/発表者名
      志摩亜季保、松岡浩史、道原明宏
    • 雑誌名

      福山大学薬学部研究年報

      巻: 39 ページ: 17~32

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 動脈硬化抑制に関与するレチノイド関連オーファン受容体の標的遺伝子群の探索【奨励賞受賞講演】2021

    • 著者名/発表者名
      松岡浩史
    • 学会等名
      第60回日本薬学会中国四国支部学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒト血管内皮細胞における細胞接着分子CLDND1の発現調節機構の解析2021

    • 著者名/発表者名
      山岡愛主、志摩亜季保、松岡浩史、濱島崇寛、小迫舞鈴、田原佑馬、道原明宏
    • 学会等名
      第60回日本薬学会中国四国支部学術大会
  • [学会発表] LXRα核内受容体を介した24S-ヒドロキシコレステロールの代謝誘導系の解析2021

    • 著者名/発表者名
      重藤真佑、松岡浩史、大石亜美、深坂日向子、田原佑馬、道原明宏
    • 学会等名
      第60回日本薬学会中国四国支部学術大会
  • [学会発表] 動脈硬化抑制に関わるRORα核内受容体の標的遺伝子の探索2021

    • 著者名/発表者名
      松岡浩史、道原明宏
    • 学会等名
      第60回日本薬学会中国四国支部学術大会
  • [学会発表] 動脈硬化抑制に関わるRORα核内受容体の標的遺伝子の探索2021

    • 著者名/発表者名
      松岡浩史、道原明宏
    • 学会等名
      第12回川崎医科大学学術集会
  • [学会発表] 動脈硬化抑制に関わる核内受容体の標的遺伝子の探索と創薬応用2021

    • 著者名/発表者名
      松岡浩史
    • 学会等名
      2021年度福山大学研究成果発表会

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公開日: 2022-12-28  

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