申請者は、海綿体の構成ユニットの血管洞(シヌソイド)の機能と病態解明のために、in vitroのexplantの培養系を樹立し、海綿体の収縮/弛緩過程を解析する事に成功し その系を応用した成果を得ている(実績論文など)。
さらに海綿体の収縮/弛緩過程について 内腔の流体(血液)の流入/流出解析ができる実験系を現在樹立しつつある。 樹立したマウス海綿体器官培養系を生かしつつ、 血管洞(シヌソイド)からの血液の排出過程(勃起の弛緩時に対応する)を世界で初めて可視化した。 持続勃起症マウスを既に発表していたが (RMB誌; 本研究による) 上記の可視化によって血管洞(シヌソイド)からの血液の排出異常が持続勃起の要因であることを初めて示した(2024年発表) 今回予想外の大きな進展として 血管洞(シヌソイド)がリンパ系マーカーLyve1を発現することを初めて報告した(RMB誌 2024 )鳥類など一部の種では リンパ液による勃起がなされる事が知られている。今回の知見は 体液(リンパ液、血液)による勃起制御の観点で興味深い知見である。また陰茎癌においては 陰茎から会陰部リンパ節への転移が、予後に極めて重要である。このように生物種間のリンパ、体液系による勃起制御から ヒト病態における癌転移制御まで リンパ系のマーカー発現の意義は、今回の知見をもとにさらに解析が重要と考えられた。以上のようにユニークな解析系を統合的に用いて微細血管系に対する解析を順調に推進できた。
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