研究課題/領域番号 |
21K06955
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
村山 正承 関西医科大学, 医学部, 講師 (60737675)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 軟骨細胞 / 軟骨組織 / 変形性関節症 / 再生医療 |
研究実績の概要 |
軟骨細胞は異化・同化作用により関節表面の軟骨組織の恒常性を維持する。その恒常性維持機構の破綻や機械的刺激などによる関節軟骨の損傷や摩耗が特徴的な退行性の骨代謝疾患が変形性関節症である。軟骨組織は再生能に乏しいため薬剤による治療は難しく、現在までに根治療法は確立されていない。本研究では軟骨細胞を用いた再生医療技術の開発を目的とした研究活動を行っている。 アディポカインとして知られるCTRPファミリー分子は関節炎の病態局所にて多く発現するが、軟骨代謝におけるCTRPファミリー分子の生理機能の理解は十分でない。そこで本研究ではCTRP分子とその受容体候補因子に着目してin vitro実験系を用いた生理機能の解析を行なった。その結果、先に報告したCTRP3及びその受容体PAQR2以外にも複数のCTRP分子と受容体が軟骨細胞の増殖を制御することで、軟骨組織の恒常性維持に寄与することを明らかにした。特にCTRP6は補体制御因子として軟骨損傷を抑制すると共に、軟骨細胞増殖因子として損傷した軟骨の再生を促す機能を持つことを見出している。そこで、これら因子の遺伝子改変マウスの作成を行い、樹立・導入に成功した。これら遺伝子改変マウスは、再生医療技術を用いた変形性関節症治療法開発の評価系として活用可能であり、実験的な変形性関節症誘導モデル及び軟骨細胞移植の評価系の構築を進めている。これらを用いてin vitro研究で得られた軟骨組織再生因子の治療効果の検証を今後も推し進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究成果の一部を学術論文として発表予定であるが、その投稿準備が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究成果の学術論文発表に向け、変形性関節症モデルマウスの解析及び軟骨細胞株を用いたシグナル経路の探索を行い、軟骨代謝制御機構の理解を深める。 具体的には新たに樹立した遺伝子改変マウスを用いた変形性関節症モデルマウスの誘導および解析を実施すると共に、in vitro軟骨代謝評価アッセイを行うことでCTRP分子/受容体の分子機序の解明を推し進める。 また、軟骨細胞移植による軟骨組織再生医療技術への応用可能性の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学術論文における発表のため、in vivoおよびin vitroの追加実験を実施する。そのため各種消耗品の購入費用とする。 また、学術論文投稿前の英文校正費用および学術論文掲載費用とする予定である。
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