研究課題
本年度は不可逆電気穿孔法治療(IRE)がどの程度腫瘍免疫を賦活するかを評価するために、担癌モデルマウスを用いてIRE治療後の免疫応答が腫瘍にもたらす影響について検討した。具体的な評価手法を以下に示す。EG7OVA細胞1.0×106cellsをマウスの右後肢部の皮内(n=14)に接種し、14日目に IRE を以下の条件で行った(電圧 : 750 V, パルス長 : 90 μs, パルス数 : 90)。IRE施行後28日目に再発が見られなかったマウス(IRE治療群:n=12)及び非担癌マウス(コントロール群:n=5)の左後肢部の皮内に EG7OVA細胞1.0×106cellsを再接種した(リチャレンジ)。また、IRE治療群のうち半数(n=6)に200μgのCD8抗体を3回に分けて腹腔内投与した。その後の腫瘍の増殖とマウスの生存について各群間で観察した。結果、皮内に接種しIREを行ったマウス全例(n=6)に再発は認めなかった。IRE施行28日後にそれらのマウスに腫瘍のリチャレンジを行ったところ腫瘍の形成は認めなかったが(n=6)、CD8抗体を投与したマウスには腫瘍の形成が認められた(n=4)。リチャレンジ群においてIRE治療群のうちCD8抗体非投与のマウスはコントロール群と比較して有意に生存の延長が認められた。以上より、IREによって得られた抗腫瘍免疫は長期間維持され、これにはCD8陽性T細胞の関与が考えられた。
3: やや遅れている
マウスに腫瘍を作製する際に腫瘍のばらつきが生じ、腫瘍の生育にばらつきが観察された。そのため安定したデータが得られなかったことが一因である。今後は他のがん細胞株も用いて実験を継続する予定である。
本年度の研究で腫瘍に対しIREを行うと免疫が賦活しその後腫瘍をリチャレンジすると腫瘍が拒絶されることが再現性を持って確認された。しかし、マウスの左右の腰部に同時に腫瘍を作製し片方のみにIREを行い対側の腫瘍の生育を確認すると、コントロールと比べ腫瘍の生育抑制は認められなかった。よって今後はIREに免疫チエックポイント阻害薬も併用して実験を行う予定である。
コロナまん延のため予定していた学会参加がウエブ参加になったことが主な原因と考える。
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