がん細胞による免疫逃避の機序の一つとして、一部のがん細胞ではMHC class I(MHC-I)遺伝子の欠失や発現低下により、がん免疫応答を回避するという免疫逃避機構が存在する。しかし、がん細胞におけるMHC-I発現抑制の詳細な分子機構は十分に解明されていなかった。我々は、がん細胞由来angiopoietin-like protein 2(ANGPTL2)が、ポリコーム複合体PRC2によるMHC-I遺伝子プロモーター領域の転写抑制型ヒストン修飾を促進することで、がん細胞におけるMHC-I発現を抑制すること、これによりがん細胞はがん免疫応答を回避し、がん病態進展につながることを解明した。
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