研究課題/領域番号 |
21K07139
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
平岡 伸介 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (40276217)
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研究分担者 |
石川 義典 (猪野義典) 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (90291137)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膵がん / 神経 |
研究実績の概要 |
がん間質の免疫微小環境はがんの生物学と密接な関係にある。免疫微小環境はがん細胞と免疫系のみならず、神経系、血管系等の多様な要因が制御に関わり、各系統間の関係性の把握が免疫微小環境のより深い理解につながる。既に膵がん組織内では神経密度低下が生じ、それが予後不良因子になることを示した。本研究では神経系の役割を中心に膵がん免疫微小環境形成・制御の理解を目指して、特に形態学的観察に基づく病理学的視点からアプローチする。 本年度は神経密度低下を来した膵がん組織の特性をより詳細に検討する目的で、神経密度低下膵がん組織と神経密度低下を来していない膵がん組織の2群間で網羅的遺伝子発現解析をマイクロアレイを用いて実施した。2群間で有意に発現量に差のある遺伝子の多くは免疫関連分子であり、IPA(Ingenuity Pathway Analysis)により2群間で有意に変動のある主なパスウェーを解析したところ、神経密度低下を伴う膵がん組織ではそうでない膵がん組織に比して、免疫系パスウェーに大きな変動を来していることがわかった。神経の変化と免疫系の変動の関連性を示唆する結果が得られた。現在、具体的な免疫系の変動について免疫組織化学等による検証と更なる解析を実施し、免疫微小環境の理解を深めることを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は神経密度低下を来した膵がん組織の特性をより詳細に検討する目的で、神経密度低下膵がん組織と神経密度低下を来していない膵がん組織の2群間で網羅的遺伝子発現解析(n=12)をマイクロアレイを用いて実施した。その結果、2群間で免疫系パスウェーに大きな変動を来していることがわかり、当初目的である、神経密度低下を呈する膵がん微小環境の免疫環境の特徴付けをすすめることが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は神経密度低下を来した膵がん組織の特性をより詳細に検討する目的で、神経密度低下膵がん組織と神経密度低下を来していない膵がん組織の2群間で網羅的遺伝子発現解析(n=12)をマイクロアレイを用いて実施した。その結果、2群間で免疫系パスウェーに大きな変動を来していることがわかった。これら結果に基づき、神経密度低下を呈する膵がん微小環境の免疫環境の特徴付けをすすめると共に、その形成機序について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも試薬等発注タイミングがずれたために残額が生じたが、次年度に当該年度使用残額と次年度使用額とを合わせて使用予定である
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