研究課題/領域番号 |
21K07210
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
神山 俊哉 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (80322816)
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研究分担者 |
西村 紳一郎 北海道大学, 先端生命科学研究院, 教授 (00183898)
旭 火華 北海道大学, 大学病院, 医員 (10876246)
坂本 譲 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (20876247)
柿坂 達彦 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (40583092)
折茂 達也 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (80711861)
長津 明久 北海道大学, 大学病院, 医員 (90782631)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 糖鎖 / 肝細胞癌 / 切除検体 |
研究実績の概要 |
これまでの糖鎖解析を行う癌に関する研究は、患者血清を用いるものが多かったが、患者背景:併存する疾患、人種などの影響があり、癌細胞上で行われる糖鎖修飾がどのように癌細胞の生物学的な悪性度を関連性があるかは未解決である。肝癌細胞株での実験で、これまで報告された患者血清から検出された糖鎖と異なるものが、浸潤能に関与していることが分かったため、実際の切除検体である癌細胞組織での検討が必要であるとの考えに至った。 今年度は、実際の切除検体である癌細胞組織での糖鎖解析による検討を行った。2001年から2006年までの肝細胞癌切除例48例の凍結検体の網羅的糖鎖解析による糖鎖発現を全自動血清糖鎖プロファイル解析で行った。1325.55m/zから3336.24m/zまでの39個の糖鎖を検出でき、肝癌組織のN型糖鎖プロファイルを解析できた。凍結保存された肝細胞癌切除標本の糖鎖解析が普遍的に可能であることが検証された。今後、同一患者さんで、非癌部の肝組織、血清での発現と、今回検出できた糖鎖との関連性を検証していく。さらにこれらの結果と臨床病理学的所見・組織病理学的所見、切除後の予後・再発との関連性を検討する予定であり、実際の肝細胞癌組織と癌悪性度、浸潤能などとの関連性がある特異の糖鎖が発見され、この糖鎖修飾を阻害することができる阻害剤が見つかれば、創薬の点からも癌治療に大きく貢献できると確信している。肝切除かあるいは分子標的薬による薬物治療かの治療選択基準となりうる新規バイオマーカーを検出できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肝癌細胞株を用いた糖鎖解析で、患者血清の糖鎖と異なるものが、浸潤能に関与していることが分かったため、実際の切除検体である癌細胞組織での糖鎖解析による検討を行った。今年度は、2001年から2006年までの肝細胞癌切除例48例の凍結検体の網羅的糖鎖解析による糖鎖発現を1325.55m/zから3336.24m/zまでの39個の糖鎖を検出でき、肝癌組織のN型糖鎖プロファイルを解析できた。凍結保存された肝細胞癌切除標本の糖鎖解析が全自動血清糖鎖プロファイル解析で行った。普遍的に可能であることが検証された。ここまでの条件検討、検証に時間がかかり、「やや遅れている」との進捗状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに症例数を増やし、予定数まで到達することを目標とし、これらの結果と臨床病理学的所見・組織病理学的所見、切除後の予後・再発との関連性を検討する予定で、実際の肝細胞癌組織と癌悪性度、浸潤能などとの関連性がある特異の糖鎖を検出していく。さらにこれらの検出された特異的な糖鎖発現と糖転移酵素GnT-V、FUT8の発現との関連性を切除標本の免疫化学染色から解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
凍結検体の糖鎖解析が、条件設定などもあり、予定より少なく48例となり、さらに正常肝組織と腫瘍部を測定するところを腫瘍部のみの測定となったため、備品、測定料などが少なくて済んだため。次年度は検体量を増やして行うことと、さらにこれらの検出された特異的な糖鎖発現と糖転移酵素GnT-V、FUT8の発現との関連性を切除標本の免疫化学染色から解明する。
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