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2022 年度 実施状況報告書

CASK遺伝子モザイク欠損が小脳低形成を引き起こす神経回路メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K07293
研究機関信州大学

研究代表者

森 琢磨  信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (70545798)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードCASK異常症 / 小脳低形成
研究実績の概要

小脳低形成モデルとして、Cre依存的にCASKをノックアウトできるCASK-floxマウスを用いて小脳顆粒細胞培養系を確立した。このマウス小脳顆粒細胞初代培養細胞にCreリコンビナーゼを発現するレンチウイルスベクターを接種し、小脳顆粒細胞からCASK遺伝子をノックアウトした。その結果、対照ウイルスベクターと異なり、Creリコンビナーゼの導入によって小脳顆粒細胞がアポトーシスすることが明らかになった。そしてこのCASKノックアウトによるアポトーシスは、CASK遺伝子の補完的発現によって抑制された。このことから、小脳顆粒細胞の生存にCASK遺伝子発現が必要であることが明らかになった。
CASKは複数の機能ドメインから構成されることが知られている。そこで、各機能ドメインを欠損したCASK変異体を用いて小脳顆粒細胞アポトーシスの抑制効果を精査した。その結果、CASKのCaMKドメイン、PDZドメイン、SH3ドメインが関与することが明らかになった。これらの機能ドメインは小脳低形成患者から見つかっているミスセンス変異が分布する領域であることから、これらのCASK遺伝子領域が小脳の形成に重要であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

すでに小脳顆粒細胞の生存に関わる、CASK遺伝子の機能ドメインの同定に成功しており、その機能ドメイン内にあるミスセンス変異についても解析を進めている。これら機能ドメインと結合する分子についてもいくつか報告されていることから、小脳顆粒細胞死に関係する分子メカニズムの解明が進むと考えている。

今後の研究の推進方策

CASK異常症の患者から同定されたミスセンス変異を用いて、小脳の顆粒細胞死について分子メカニズムの解析を進める。MICPCH症候群は小脳の欠失にも似た症状を示すことから、小脳の顆粒細胞だけがなくなるとは考えにくい。CASK異常症の組織病変を明らかにするために、CASKヘテロ欠損マウスの脳組織を免疫組織化学法によって詳細に解析する。

次年度使用額が生じた理由

fCASKマウスはCASK遺伝子の発現量が野生型と比較して低く、生存率も低いことが明らかになっている。そのため、小脳顆粒細胞培養細胞に用いられるfCASK新生児マウスの作成に困難が生じた。次年度にはより多くのマウスを飼育することで、実験のスピードアップを測る。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] University of Strathclyde(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Strathclyde
  • [雑誌論文] An Epilepsy-Associated Mutation of Salt-Inducible Kinase 1 Increases the Susceptibility to Epileptic Seizures and Interferes with Adrenocorticotropic Hormone Therapy for Infantile Spasms in Mice2022

    • 著者名/発表者名
      Pang Bo、Mori Takuma、Badawi Moataz、Zhou Mengyun、Guo Qi、Suzuki-Kouyama Emi、Yanagawa Toru、Shirai Yoshinori、Tabuchi Katsuhiko
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 23 ページ: 7927~7927

    • DOI

      10.3390/ijms23147927

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2023-12-25  

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