研究課題/領域番号 |
21K07318
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
野島 順三 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30448071)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 抗リン脂質抗体症候群 / 動脈血栓症 / 血管内皮細胞 / 単球 |
研究実績の概要 |
抗リン脂質抗体症候群(APS)は,多彩な血栓塞栓症の発症を特徴とする自己免疫疾患である.我が国のAPS患者における特徴として,脳梗塞を中心とする動脈血栓症が多いことが知られているが,詳細な発症機序は解明されていない. 本研究では,抗リン脂質抗体が血管内皮細胞・単球・リンパ球の相互作用を介して動脈硬化病変を進展させ,動脈血栓塞栓症を引き起こすという仮説を立て,コラーゲン上に播種したヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)と健常人末梢血単核球(PBMC)が接着等により直接作用できる接触系共培養モデルを作成し,抗リン脂質抗体の作用を検討した.その結果,共培養モデルにAPS患者由来IgG抗体を添加することにより,単球やリンパ球の血管内皮細胞への接着ならびに浸潤が促進されること,また,培養上清中およびコラーゲンゲル層中の単球において細胞表面組織因子(TF)の発現が増強されることを確認した. 動脈硬化病変の進展に関して,単核球の血管内皮細胞への接着,血管内皮下組織への浸潤,単球の泡沫細胞化など一連の機序が知られており,本研究では抗リン脂質抗体が存在することによって,単球およびリンパ球の血管内皮細胞への接着や血管内皮下組織への浸潤が促進され,動脈硬化の進展を招く可能性が示唆された.さらには血栓形成のトリガーとなる細胞表面組織因子発現の亢進により,動脈硬化性疾患が引き起こされると推測される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究計画は、患者血漿より単離・精製したAPS-IgG抗体を用いて、独自開発のヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)と健常人末梢血単核球(PBMC)の共培養実験系:接触系・非接触系にて抗リン脂質抗体の血栓形成作用を検討することであり、抗リン脂質抗体が免疫担当細胞の血管内皮細胞への接着や血管内皮下組織への浸潤を促進することにより動脈硬化の進展を招く可能性を得られた研究成果により、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
既に患者血漿より単離・精製したAPS-IgG抗体を所持しており、独自開発のヒト動脈(静脈)内皮細胞・単核球・血小板の共培養実験系:接触系・非接触系にて細胞表面TF発現・接着分子発現・各種サイトカイン産生・一酸化窒素(NO)産生・活性酸素種(ROMs)産生・血小板活性化などを促進させる抗リン脂質抗体のタイプおよび組み合わせを検討する。
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