研究課題/領域番号 |
21K07351
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
砂川 正隆 昭和大学, 医学部, 教授 (20514467)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オキシトシン / 漢方薬 / 加味帰脾湯 / 抗不安作用 / 抗ストレス作用 |
研究実績の概要 |
ラットを用い、漢方薬 加味帰脾湯が視床下部のオキシトシンニューロンを活性化させ、オキシトシンの分泌を高めることを確認している。また、急性ストレスモデルラット(90分間の拘束ストレス負荷)を用い、加味帰脾湯(3%の割合で餌に混合)が、抗不安・抗ストレス作用を有し、その作用機序の一端に、オキシトシンの分泌亢進を介していることを既に報告している。 慢性的なストレスモデルラット(4週間の社会的孤立ストレス負荷)にも加味帰脾湯が有用であるか検証した。興味深いことに、急性実験と同じ投与量では効果が得られず、投与量を減らしたところ(1%の割合で餌に混合)、不安行動を評価するオープンフィールドにて効果が確認できた。ただし、興奮性(イライラ)を評価するResident intruder testでは効果は見られなかった。臨床的にも、患者の症状によって漢方薬を使い分けるが、経験的に加味帰脾湯は不安が強い患者に有用であり、今回の結果と一致した。現在は、急性ストレスモデルと同様に、オキシトシンの分泌が関与しているのか否かを検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
急性ストレス実験が終わったのち、慢性ストレス実験を行っている最中に新型コロナウイルス感染症が拡大し、予定通り実験が行えなかった。 また、慢性実験を始めてからも薬剤の投与量や評価方法が決まらず、本格的な実験の開始まで時間を要してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
慢性ストレスに対する加味帰脾湯の作用機序として、オキシトシンの分泌促進作用が関与しているのか検討する。さらには、他のモデル動物(疼痛ストレスなど)に対しても有用であるのか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度はおおよそ予定通り使用したが,2022年度の実験の遅れ分が繰り越しとして残っている。2024年度は遅れ分も実験を行う予定である。
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