ギラン・バレー症候群では、ガングリオシドが自己抗体の標的分子として同定され、発症に関与すると想定されている。しかし、同じ自己抗体が陽性でも症例により臨床像が多彩であり、その原因は明らかにされていない。今回、標的ガングリオシドが、隣接して発現する他の糖脂質により遮蔽されることが多様な臨床像を呈する原因であると仮定して、GT1a抗体と球麻痺を例に検証した。その結果、当初の作業仮説を立証できなかったが、GT1aと複合体形成することで球麻痺の新しい標的を作り出す糖脂質候補が見つかった。複数の抗原が複合体を形成することで標的抗原を作り出しているという観点が、自己抗体介在性疾患の病態解明には重要である。
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