研究課題
精神疾患合併妊婦に対して、精神医学的評価を行い精神療法とともに必要な症例に対しては薬物療法をおこなった。そのうち、精神疾患ために妊娠中に向精神病薬を使用した際の児への影響を精神疾患合併妊婦において検討し、また精神疾患合併の症例を、精神疾患を合併していない群と比較し、児や出産に関連する因子への影響を検討した。まず、精神疾患合併妊婦の症例を対象にした検討では、妊娠経過中の時期を問わず服薬の有無で評価となっており、服薬時期に関しての検討ができていないため予備的な結果ではあるが、出生児のアプガースコアは、1分値および5分値とも向精神薬使用とは関係せず、アプガースコア1分値および5分値とも喫煙歴があると有意に低いという結果であった。また、出生児のNICU入室は、早期産およびベンゾジアゼピン系薬剤の使用で有意に高いという結果であった。妊娠経過における服薬時期を特定しての再検討が必要である。また、精神疾患合併妊婦を、精神疾患を合併していない妊婦と比較した場合の検討では、出産時の向精神薬使用は、在胎数週・児の出生時体重・アプガースコア1分値および5分値、臍帯動脈血pH・帝王切開のいずれとも相関を認めなかった。この検討については、妊婦の喫煙・飲酒についてと、児のNICU入室については未検討である。薬物血中濃度と母乳中の薬物濃度も測定開始して複数の検体を測定しているが、現在、症例を増やし測定を継続中である。
2: おおむね順調に進展している
新型コロナウイルス感染症の拡大で、一時期研究実施はできなかったが、薬物血中濃度および母乳中薬物濃度に関する検体も採取できつつある。また、精神疾患合併妊婦での薬物療法を主とした様々な要因の児への影響についての検討、および精神疾患合併妊婦について、精神疾患を合併していない妊婦との比較検討中である。
引き続き、精神疾患合併妊婦に対しての精神科的治療を継続し、そのうち、精神科薬物療法を受けている症例については、薬物血中濃度および母乳中薬物濃度の測定をおこなっていく。
新型コロナウィルス感染症の影響から研究実施が大学からとめられていたため、研究費使用が予定よりも少なくなりました。継続して研究実施を行っていきます。
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