恐怖体験をしたマウスにCGRPを投与すると、怖い記憶を覚えていないことを発見しました。CGRPは痛みを伝える神経に含まれている神経伝達物質の一つでありますが、CGRPと記憶との関係は明らかになっていませんでした。我々はマウスの脳にCGRPを投与し、記憶における影響を解析した結果、恐怖記憶を和らげる効果がCGRPにはあることが分かりました。このCGRPの作用は、転写調節因子であるNpas4の発現量増加により起こることが明らかとなりました。さらに、CGRPのNpas4の増加は後天的な遺伝子発現制御、つまりエピジェネティクスな制御系を介して行われていることも明らかにしました。
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