研究課題/領域番号 |
21K07648
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
坂田 耕一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10235153)
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研究分担者 |
池内 佑太郎 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00827876)
小塚 陽 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (50808160)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 動注化学放射線治療 / 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
【背景】口腔癌の治療において局所制御率の向上と機能・整容面の温存が重要であり、化学療法および放射線治療の重要性が高い。当院では、局所進行口腔癌に対する選択的動注化学放射線療法を術前治療として、施行してきた。今まで、当科では、ヒトパピローマウイルス関連癌である子宮頸癌、中咽頭癌で、腫瘍免疫が、放射線治療成績に影響を与えていることを示唆する結果を得ている。本研究では、口腔癌の術前動注化学放射線治療における腫瘍免疫の影響を解析する。 【対象と方法】局所進行口腔癌で、術前治療として、シスプラチンの動注化学放射線治療が施行された77例を解析対象とした。そのうち44 例が全身化学療法も併用された。術前治療により、臨床的に完全奏効(CR)となった場合は、手術は施行されず、経過観察とした。治療前生検検体に対して免疫染色を行ない、口腔癌組織における腫瘍免疫関連タンパクであるPD-L1の発現とCD8陽性T細胞の浸潤の程度をスコア付けを行い評価し、予後との関連を解析した。 【結果】①術前治療で臨床上CRとなり手術を回避した臨床的完全奏効群(cCR)と術後標本で癌組織の残存が見られなかった病理学的完全奏効群(pCR)は、術後標本で癌組織の残存が見られた群(not c/pCR)より、有意に予後が良好であった。②癌組織の間質のCD8陽性リンパ球の高浸潤群は、低浸潤群に比べ、全生存率 と疾患特異的生存率 が有意に良好であった。③not c/p CR群では、間質の免疫細胞のPD-L1発現率が疾患特異的生存率の有意な予測因子であり、PD-L1高発現群では、有意に良好であり、pCR群と同等の予後であった。 【考察】局所進行口腔癌の術前化学放射線療法の治療成績に、腫瘍免疫が影響しているしている可能性があり、腫瘍免疫に関係する他の因子でも解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の一つとして、生検標本を使用した免疫組織染色による放射線治療効果予測法の確立を目指すことがあるが、口腔癌で、有望な結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
生検標本を使用した免疫組織染色による放射線治療効果予測法の確立ための研究を他の癌でも行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
サンプル集積を優先させたため。消耗品はすでに研究室にあったものを使用した。 翌年度の経費は解析用の備品購入、研究用の消耗品購入、研究のための情報収集を兼ねた学会参加の費用等に使用する予定である。
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