特別な装置を必要としない実用的な放射線感受性予測法の開発

2023 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 21K07648
• 研究機関: 札幌医科大学
• 研究代表者: 坂田 耕一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10235153)
• 研究分担者: 池内 佑太郎 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (00827876) ; 小塚 陽 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (50808160) [辞退] ; 眞船 翔 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (40855847) ; 宍戸 博紀 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70718006)
• 研究期間 (年度): 2021-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 子宮頚がん / 放射線治療 / ネオアジュバント化学療法 / 腫瘍免疫

研究実績の概要

【背景】当施設では直径4cmを超えるステージIIb腫瘍に対してはネオアジュバント化学療法（NAC）後に手術を行い、病理結果に応じて術後放射線療法を実施している。本研究では、腫瘍免疫因子が術後放射線療法後の患者予後に及ぼす影響を解析した。さらに、NACが腫瘍免疫関連タンパク質の発現と、手術および術後放射線療法後の転帰に及ぼす影響を評価した。
【対象と方法】子宮頸癌に対して術後放射線治療を受けた患者におけるプログラム細胞死リガンド1（PD-L1）と予後との関係、およびこの関係に対するはNACの影響を評価した。NACを受けなかった患者（非NAC群 ）42人の生検標本と、NACを受けた患者（NAC群） 46人の化学療法前（生検）と化学療法後（切除組織）の対になった標本について免疫組織化学的解析を行い、PD-L1と放射線療法の転帰との関連を検討した。
【結果】非NAC群では、治療前にPD-L1発現腫瘍細胞が10％以上であった患者は、PD-L1発現腫瘍細胞が10％未満であった患者よりも無再発生存期間（RFS）が良好であった（p = 0.001）。NAC群では、NAC後に腫瘍細胞のPD-L1発現が5％以上減少した群では、5％未満減少した群よりもRFSが有意に低かった（p＝0.005）。多変量解析では、PD-L1発現（非NAC群）とPD-L1発現の変化（NAC群）のみがRFSと関連していた。
【考察】この結果から、子宮頸部腫瘍の前治療でPD-L1発現が低いことは、術後放射線治療後の予後不良の危険因子であることが示唆される。また、NACは腫瘍細胞のPD-L1レベルを低下させる免疫学的環境の変化を誘導し、治療成績に悪影響を及ぼすことが示唆される。

研究成果

• [雑誌論文] Identificationying And and Quantifying Quantification of Radiotherapy-Related Protein Expression iIn Cancer Tissues Using the Qupath Software aAnd Predicting Predictiion of Treatment Response. (2024)
  • 著者名/発表者名: Tomokazu Hasegawa, Masanori Someya, Takaaki Tsuchiya, Mio Kitagawa, Yuuki Fukushima, Toshio Gocho, Sho Mafune, Ryu Okuda , Juno Kaguchi, Atsuya Ohguro, Ryo Kamiyama, Ayato Ashina, Yuka Toshima, Yoshihiko Hirohashi, Toshihiko Torigoe, Koh-ichi Sakata.
  • 雑誌名: In vivo 巻: in press ページ: -
• [雑誌論文] Immunohistological evaluation of patients treated with intra-arterial chemoradiotherapy and surgery for oral cancer. (2023)
  • 著者名/発表者名: Yutaro Ikeuchi , Masanori Someya, Tomokazu Hasegawa, Masato Saito, Sho Mafune, Takaaki Tsuchiya, Mio Kitagawa, Toshio Gocho, Hidenari Dehari, Kazuhiro Ogi, Takanori Sasaki, Yoshihiko Hirohashi, Toshihiko Torigoe, Naoki Hirokawa, Akihiro Miyazaki, Koh-ichi Sakata
  • 雑誌名: Med Mol Morphol. 巻: 56 ページ: 288-296
  • DOI: 10.1007/s00795-023-00367-8.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Prediction of late adverse events in pelvic cancer patients receiving definitive radiotherapy using radiation-induced gamma-H2AX foci assay. (2023)
  • 著者名/発表者名: Masanori Someya, Tomokazu Hasegawa, Asako Nakamura, Takaaki Tsuchiya, Mio Kitagawa, Toshio Gocho, Sho Mafune, Yutaro Ikeuchi, Hiroshi Tauchi, Koh-ichi Sakata
  • 雑誌名: J Radiat Res. 巻: 64 ページ: 948-953
  • DOI: 10.1093/jrr/rrad079
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] T細胞受容体（TCR）レパトア解析による放射線治療効果の予測 (2024)
  • 著者名/発表者名: 染谷 正則、坂田 耕一
  • 学会等名: 第15回Quantum Meidicine研究会（水戸）
  • 招待講演
• [学会発表] 化学放射線療法＋免疫療法を行ったIII期切除不能非小細胞肺癌における末梢血リンパ細胞のTCRレパトア解析 (2023)
  • 著者名/発表者名: 染谷 正則、長谷川 智一、北川 未央、土屋 高旭、眞船 翔、後町 俊夫、池内 佑太郎、金関 貴幸、鳥越 俊彦、坂田 耕一
  • 学会等名: 第20回日本免疫治療学会学術集会（東京）
• [学会発表] 子宮頸癌術後照射症例での 腫瘍免疫関連タンパク解析による治療効果予測 (2023)
  • 著者名/発表者名: 眞船 翔、染谷 正則、土屋高旭、長谷川智一、 北川未央、後町俊夫、奥田竜、坂田耕一、松浦基樹、岩崎雅宏、齋藤豪
  • 学会等名: 第60回日本放射線腫瘍学会生物部会学術大会（京都）
• [学会発表] 骨盤部悪性腫瘍に対し根治的放射線治療を行った患者の末梢血リンパ球を用いた放射線誘発ガンマH2AXフォーカス解析による晩期有害事象予測 (2023)
  • 著者名/発表者名: 染谷 正則、長谷川 智一、土屋 高旭、眞船 翔、北川 未央、後町 俊夫、中村 麻子、田内 広、坂田 耕一
  • 学会等名: 第60回日本放射線腫瘍学会生物部会学術大会（京都）
• [学会発表] 化学放射線+免疫療法を行った3期NSCLCにおける、末梢血リンパ細胞のTCRレパトア解析 (2023)
  • 著者名/発表者名: 染谷 正則, 長谷川 智一, 北川 未央, 土屋 高旭, 後町 俊夫, 眞船 翔, 金関 貴幸, 蒔田 芹奈, 鳥越 俊彦, 坂田 耕一
  • 学会等名: 第61回日本癌治療学会学術集会（横浜）