研究課題/領域番号 |
21K07650
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
荻野 浩幸 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (60315885)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スペーサー / 前立腺癌 / 放射線治療 |
研究実績の概要 |
スペーサー留置を行った1000例のデータベース整備を行い、これまでの有害事象発生率を算出した。急性期の有害事象としてはいずれも軽微なものであり、グレード2の有害事象は尿路系で0.7%、感染症0.1%であった。また血管へのハイドロゲルの迷入も比較的軽微なものが3%、高度なものは0.1%であることが分かった。手技時に問題点となる疼痛についても検討したが、11段階疼痛スケールを用いた解析では疼痛の分布は二峰性となり、3点程度の比較的疼痛耐性の強いグループのピークと8点付近の疼痛感受性の高いグループがあることが判明した。疼痛対策としての鎮静も有用な方法であることを統計学的に証明することができた。6か月以上経過観察を行った800例においては晩期有害事象は認められず、現状では安全性の高い手技であることが分かった。少数例ではあるが血管迷入が高度の症例があったため、今後画像データベースの構築を進めることで、迷入ルートの解明を行う予定である。これらの成果は第34回日本放射線腫瘍学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで1000例のデータベース構築と整理を行うことで、臨床的な解析が順調に進んでおり、その成果を学会発表することができた。また、今後の画像データベースを構築すべき症例の洗い出しも進んでおり、当初計画に沿った進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
直腸壁へのハイドロゲル侵入ルートとしては直接的な直腸の穿刺が考察されることが多いが、血管構造による侵入の可能性が高いと考えており、高度血管侵入例の画像解析を行うことで、侵入ルートの解明を行うとともに、予防策への考案へと進めていく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データベース構築は順調に進んだが、本年度は臨床情報の収集と解析を中心に行い、画像解析などを次年度に行うこととしたため。
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