研究実績の概要 |
人口減少、出生率低下は、日本において、喫緊の問題であり、妊娠中の病気の解明は重要である。妊娠中における胎盤の血栓症は、妊娠中におこる病気の一つであり、母体および胎児に充当な病態をきたす。 1. ダウン症候群における一過性の骨髄増多症で、胎盤に血栓が観察されることを見出し、ヨーロッパ病理学会誌のVirchow Archに投稿し、受理された(Tomimori K, Kodama Y, Sato Y*. Myeloid cell thrombus and fetal vascular malperfusion in placentas with transient abnormal myelopoiesis. Virchow Arch. 2022; 480:1181-1187)。 2. 妊娠高血圧症に対して、抗血栓薬である低用量アスピリンが臨床的に有効であることがこれまで知られていたが、その作用機序や、胎盤での変化は不明であった。我々は、低用量アスピリン投与群では、妊婦の高血圧症が優位に減少し、胎児の小さい症例も減少した。病理学的にも妊娠高血圧症にともなう母体血管の異常や血栓が減少し、低用量アスピリンが胎盤の母体血管の異常を予防することが明らかになった。今回の検討は、第111回の日本病理学会学術集会で発表し、またVirchow archに論文を投稿し、受理された(Tomimori-Gi K, Sato Y*. Low-dose aspirin therapy improves decidual arteriopathy in pregnant women with a history of preeclampsia. Virchow Arch. 2022;481:713-720.)
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