クローン病に対する治療選択肢は、生物学的製剤や低分子化合物の導入により拡大し、寛解導入率が飛躍的に改善してきた。したがって、治療抵抗性の患者に対する治療法の開発に加えて寛解状態をいかに維持するかという点がこれからのクローン病の治療戦略において最重要事項の一つである。そのような観点から、長期にわたって粘膜にとどまる病原性組織常在性T細胞はクローン病の慢性炎症の治療に対する格好の標的であると考えられる。本研究による疾患特異的なT細胞とその誘導機構の一端の解明は、新たなクローン病の治療戦略の構築につながると考えられ、従来の治療法との併用によりクローン病治療がより充実することが期待される。
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