DNAミスマッチ修復機能が欠損(dMMR)した腫瘍は治療への反応性など通常の癌とは異なることが知られている。以前我々は、炎症刺激により肝細胞でミスマッチ修復遺伝子MSH2の発現が低下し、発癌に寄与する可能性を報告した。本研究は、MSH2を欠損した遺伝子改変マウスに慢性肝炎刺激を加えた動物モデルを作成し、炎症性肝発癌過程におけるMSH2の役割を解明することを目的とした。その結果、MSH2の欠失のより肝発癌が促進され、生じた腫瘍はdMMRの特徴を有することが明らかとなった。またMSH2はDNA修復のみならず、細胞増殖の制御にも関わることで、発癌抑制に寄与する可能性が示唆された。
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