研究課題/領域番号 |
21K08001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒川 憲 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40868999)
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研究分担者 |
早河 翼 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60777655)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 粘膜恒常性 / 粘膜再生 / 幹細胞 / 前駆細胞 / 杯細胞 / Wnt / Rspondin / Lgr |
研究実績の概要 |
本研究では、杯細胞系統の消化管上皮恒常性に対する役割や、粘膜障害時の杯細胞系統のWnt活性化と脱分化機構の解析を目的とした。Tff3-dsRED-DTR; Lgr5-CreERT; R26-TdTomatoマウスやTff3-dsRED-DTR; Mist1-CreERT; R26-TdTomatoマウスを新規に作成し、Tff3+杯細胞をアブレーション後にLgr5+消化管上皮幹細胞やMist1+分泌系前駆細胞の細胞系譜解析を行い、複数の粘膜障害モデルを用いて杯細胞消失の消化管上皮恒常性に対する影響や、粘膜障害と再生に対する影響を解析した。また、消化管上皮幹細胞(ISC)の制御には幹細胞ニッチから分泌されるR-spondin 3(Rspo3)とLgr受容体の相互作用が重要である。Lgr5はISCで発現するが、Lgr4は主に前駆細胞に発現していた。Rspo3-Lgr4シグナルを詳細に解析するため、Vil-rtTA; tetO-Rspo3マウスやVil-Cre; R26-LSL-rtTA; tetO-Rspo3; Lgr4-flox/floxマウスを新規に作成した。Rspo3の過剰発現(OE)では、腸陰窩の肥厚や異形成を生じ、Ki67+細胞、Paneth細胞、tuft細胞は増加し、杯細胞は減少した。Lgr4ノックアウト(KO)は、これらのRspo3 OEの変化が軽減した。RNAseqでは、Wnt標的遺伝子の発現がRspo3 OEで増加し、Lgr4 KOで減少していた。Lgr5-CreERT; R26-TdTomatoマウスを用いた細胞系譜解析では、Rspo3 OEでは幹細胞からの分化は寧ろ抑制され、前駆細胞の増加や分化が生じることが示唆された。Rspo3-Lgr4シグナルは、腸上皮の恒常性制御において重要な役割を果たすことが示され、引き続き詳細な解析を継続予定である。
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