心臓という代謝産物の分解が急速に進む臓器における正確な代謝の状態の空間的かつ時間的把握を確立するために、マイクロ波によるサンプル処理やマイクロダイアリシス法の開発を進めてきた。高分解能質量分析を組み合わせることで、虚血再灌流という、代謝変化が瞬時に代わる病態における代謝を正確に評価することができ、そのメカニズムの解明を進めることができた。特に、これまで不明であった、虚血時、再灌流時の代謝産物の放出、遅延相にのみ起こる酸化脂質の蓄積などから、新しい治療標的の同定に成功した(図4)。これらの成果を踏まえ、臨床現場で実現可能な治療となりうる薬物または医療機器の開発につなげる研究の加速が期待される。
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