レドックスバランス破綻による酸化ストレスは、血管平滑筋細胞(VSMC)の機能障害を引き起こし、動脈硬化の発症と進展の原因となる。本研究では、強い抗酸化作用を有する活性イオウ分子に着目し、VSMCの機能調節における役割について検討した。 その結果、活性イオウ分子が血小板由来増殖因子により生成した活性酸素の消去機能を介して、下流のシグナル伝達因子Aktの活性化と細胞接着斑の形成を抑制することで、VSMCの遊走を制御することを見出した。これらの成果は、活性イオウ分子が血管傷害後の内膜肥厚と動脈硬化に対する治療ターゲットとなる可能性を示唆するものである。
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