研究課題
基盤研究(C)
近年、腸内細菌叢とその代謝産物が、生体の恒常性維持に関連し、細菌叢の破綻が種々疾患の発症・進展に関与していることが明らかとなっている。腎疾患においても、腸管環境は病態に深く関与していることが示されている。我々は、腸内細菌の菌体が、糖尿病関連腎臓病の進展機序に関与することを明らかとした。糖尿病関連腎臓病モデルマウスでは腸管上皮細胞の脆弱化を基に、腸内細菌が体内移入し、炎症が遷延することを示した。糖尿病関連腎臓病において、腸管上皮が新たな治療標的となりうる可能性が示された。
腎臓内科学
本邦の慢性腎臓病患者は、約1330万人と推定されており、新たな国民病とも考えられている。治療手段はいまだ限られており、新規の病態解明や治療薬の開発が求められている。本研究課題で得られた知見は、糖尿病関連腎臓病の新たな病態と治療標的の可能性を示しており、将来的な臨床応用の基盤となる結果であると考えられる。