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2022 年度 実施状況報告書

脂質関連遺伝子の異常による先天性毛髪疾患の病態解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K08347
研究機関山口大学

研究代表者

下村 裕  山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70397107)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード先天性毛髪疾患 / 脂質関連遺伝子 / LSS / lanosterol synthase
研究実績の概要

2022年度は、野生型および6種類の変異型LSSの発現ベクター(G6D, R177Q, V487E, P549L, W581R, T705K)を培養細胞に過剰発現させ、過去の文献に記載されていた方法に従い、各LSS蛋白のラノステロール産生能を検討した。その結果、野生型に比べ、6種類の変異型LSS蛋白すべてでラノステロール産生能が有意に低下していた。また、変異型蛋白間で産生能に若干の違いは認められたが、統計学的な有意差はなかった。本結果は、単にラノステロール産生能の低下だけでは各変異による表現型の違いを説明することができないことを示唆しており、変異による他の機能異常にも着目する必要性があると考えらえた。さらに、本解析で用いたのはHEK293T(腎臓由来の細胞)であったことから、HaCaT細胞などの表皮角化細胞由来の細胞株を用いれば、より表現型を反映した結果が得られる可能性もある。
次に、2021年度にエクソーム解析で同定した脂質が関与する転写因子をコードする遺伝子のバリアントについて培養細胞レベルで検討を行い、同バリアントによる機能喪失を示す結果が得られた。すなわち、同遺伝子がコードする蛋白が核内に移行できず、転写因子として機能しない異常を呈することがわかった。さらに、バリアントが同定された患者の頭髪を光学顕微鏡および電子顕微鏡で詳細に観察した結果、毛髪は脆弱であり、毛髪中のケラチン線維の量が著しく少ないことがわかった。これは、同遺伝子が毛ケラチン蛋白や毛ケラチン関連蛋白の発現を調節している可能性を強く示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

患者の皮膚組織を用いての解析は遅れているものの、培養細胞レベルでの解析と新規の家系の試料を用いての解析は計画通りに実施できており、おおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

培養細胞および患者の皮膚組織を用いて追加の発現・機能解析を実施し、遺伝子変異による機能異常をさらに明らかにする。また、脂質関連遺伝子に変異を有する可能性のある新規の家系の試料を保有しており、それらの試料を用いてエクソーム解析を実施し、原因遺伝子の同定と発現・機能解析を行うことで、脂質関連遺伝子の変異による先天性毛髪疾患の発症機構を明らかにする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 皮膚症状からみる遺伝子解析2022

    • 著者名/発表者名
      下村 裕
    • 雑誌名

      皮膚科

      巻: 2 ページ: 513-519

  • [学会発表] 常染色体劣性縮毛症の新規原因遺伝子の解析2022

    • 著者名/発表者名
      下村 裕
    • 学会等名
      第78回日本皮膚科学会高知地方会
  • [学会発表] 毛の形態学と疾患2022

    • 著者名/発表者名
      下村 裕
    • 学会等名
      第54回臨床分子形態学会総会・学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] Analysis of causative genes for autosomal recessive woolly hair2022

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Shimomura
    • 学会等名
      World congress for hair research 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] LIPH遺伝子変異による縮毛症・乏毛症以外の遺伝性毛髪疾患をどう診るか?2022

    • 著者名/発表者名
      下村 裕
    • 学会等名
      第86回日本皮膚科学会東京支部学術大会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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