脳梗塞の治療では、発症から6時間以内の血流再開が虚血による一次的障害を抑制し、予後の改善に有効であると知られているが、その条件で病院にたどり着ける患者は全体の10%に満たない。一方、脳梗塞は、脳外傷同様に炎症による二次的障害が臨床上重要な意味を持つので、それを防止できるF9-APは、新たな脳梗塞の治療戦略の存在を示唆している。また、F9ーAPの抗炎症作用は、これまで知られている、NSAID、ステロイド、免疫抑制剤と異なる機序による可能性が高い。COVID19による肺炎など、炎症反応は未だ十分にはコントロールできていない反応であり、本研究の成果は新しい抗炎症薬の発明に寄与すると考えられる。
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