研究課題
基盤研究(C)
過剰鉄は活性酸素種の産生を介して臓器障害をきたす。本研究では鉄過剰マウスを作成し、過剰鉄による骨髄造血および造血器腫瘍発症への影響を解析した。鉄過剰マウスでは投与後、顆粒球系を中心とする白血球増加が認められ、骨髄における未分化造血コロニー数が減少していた。また、ゲノム不安定性の高いTP53ノックアウトマウスを用いた実験では、鉄過剰の有無によって腫瘍発生には差が認められなかったが、鉄過剰マウスは有意に多くの死亡が認められた。
血液内科学
赤血球輸血は血液疾患において極めて重要な治療選択肢であるが、頻回の輸血は鉄過剰症をきたす可能性がある。鉄過剰症によって心臓・肝臓・内分泌腺に障害が発生することが従来より知られていたが、本研究によって未分化造血細胞をはじめとする骨髄における造血能にも影響があることが示唆された。本研究により、輸血後鉄過剰症症例における適切な除鉄療法の意義がより明確になったと考えられる。