研究課題/領域番号 |
21K08408
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
池亀 和博 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20372609)
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研究分担者 |
藤原 弘 三重大学, 医学系研究科, 産学官連携講座教授 (20398291)
福永 景子 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60649185)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | HLA不適合移植 / HLA拘束性T細胞 |
研究実績の概要 |
HLA不適合移植におけるHLAは、患者とドナーが共有するもの(共有HLA)、ドナーのみがもち患者がもたないもの(ドナー固有HLA)、患者のみがもちドナーがもたないもの(患者固有HLA)、の3つが考えられ、それぞれに拘束性のT細胞の存在が想定される。移植後の生体防御は共有HLAに拘束性のT細胞が担うので、共有HLAハプロタイプが1本あれば事足りると考えられている。しかしHLA不適合移植後の患者において、本当にそのような共有HLA拘束性T細胞はいつも存在するのであろうか。あるいはドナー固有HLAや患者固有HLAに拘束性のT細胞はそもそも存在するのであろうか。本研究では、HLA不適合移植後患者の血液を移植後30日、60日、90日、180日、1年、2年の時点で採取し、HLA-A*24:02およびHLA-A*02:01拘束性CMV-pp65341-349テトラマーを用いて、反応するT細胞を測定した。現在までにのべ41検体を結果を得ている。患者およびドナーのHLAがたまたまHLA-A*24:02、あるいはHLA-A*02:01であるかによって、上記の3つが検出できる場合とできない場合がある。またHLA-A*24:02と24:20、HLA-A*02:01と02:06および02:07はクロスすると仮定した。この仮定の下で、1) 共有HLA拘束性T細胞は26例が検出可能であり、そのうちの16例で検出された。2) 患者固有HLA拘束性T細胞は18例が検出可能であり、そのうちの14例で検出された。3) ドナー固有HLA拘束性T細胞は17例が検出可能であり、そのうちの4例で検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた以上に不適合移植患者のリクルートが進み、年間の研究費予算が足りなくなったために、検体測定を年末に一旦中止せざるを得なくなった。またレテルモビルの発売に伴い、移植後サイトメガロウイルス感染の機会が減って、CMVテトラマー陽性細胞の検出率が落ちている可能性(少なくとも共有HLA拘束性T細胞は本来もっと陽性になってしかるべきと考えられる)が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き検体の収集を進め、データの信頼性をソリッドなものにしていく。共有HLA拘束性T細胞、患者固有HLA拘束性T細胞、ドナー固有HLA拘束性T細胞の存在そのものが前提となるので、個々のin vitro解析よりもまずその量的比率を明らかにすることを優先しようと考えている。
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