ヒトにおいては、CCL18-CCR8経路のIgG4関連疾患(IgG4-RD)病態への関与が示唆されており、モデルマウスを用いた治療実験、in vivoでの解析を行うことにより、新規治療標的としての可能性を明らかにするため、IgG4-RD類似疾患モデルマウスとして近年報告のあるLATマウスを用いた検討を行った。LATマウスの唾液腺ではCD4陽性T細胞、B220陽性B細胞、CD138陽性形質細胞を含む単核球浸潤と線維化を認め、炎症細胞浸潤の程度を表すfocus score、線維化の程度を表すfibrosis scoreを盲検下に評価したところ、Littermate controlと比較し有意に高値であった。 また、脾臓のCD4陽性T細胞および、唾液腺に浸潤するCD4陽性細胞におけるサイトカイン産生能をフローサイトメトリーで評価したところ、LATマウスの脾臓CD4陽性T細胞におけるインターロイキン(IL)-4陽性細胞はLittermate controlと比較し有意に増加していた。インターフェロン(IFN)-γ陽性細胞、IL-17陽性細胞については、有意差は認めなかった。また、唾液腺CD4陽性細胞においては、いずれもLittermateと比較し有意差は認めなかった。 LATマウスでは、唾液腺におけるCcr8、脾臓におけるCcl8発現が有意に高値であり、抗CCL8中和抗体投与による検討で、唾液腺の炎症細胞浸潤、線維化の改善が示唆された。また、膵臓においても少数例の検討において炎症細胞浸潤の改善傾向が示唆された。In vitroでマウス線維芽細胞株(NIH/3T3)をリコンビナントマウスCCL8で刺激したところ、Col1a2、Total collagenの発現上昇を認め、リン酸化ERKの発現上昇が確認された。
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